1月の誕生石である「ガーネットは赤い宝石の代表」といわれていますが、それは正確ではありません。ビクトリア時代に、ヨーロッパで多く出回ったボヘミア(チェコ)産の「暗赤色の宝石・ガーネット」からきている、一般的なイメージのことばです。
では、ガーネットという宝石・その色とはどんなものでしょうか?
ガーネットの語源は、ラテン語のgranatus(種子)で、原石が産出される時、結晶の形状と色がザクロの種に似ていたことからきているようです。
ガーネットといわれる宝石には5種類あり、それぞれが少しずつ成分が違い、従って色や特性も変わってきます。このことから全体をまとめると、正確にはガーネット族の宝石となります。5種類のガーネットの名前と色の特徴は次の通りです。
名前(一般的表現) | 英語表記 | 代表的な色 | 和名 |
---|---|---|---|
アルマンダイト | Almandite | 暗赤色 | 鉄バンザクロ石 |
パイロープ | Pyrope | 血赤〜ピンク赤色 | 紅ザクロ石 |
グロッシュラー | Grossular | 黄緑色(ツァボライト) | 灰バンザクロ石 |
スペサルタイト | Spessartite | オレンジ色 | 満バンザクロ石 |
デマントイド | Demantoide | あざやかな緑色 | 翠ザクロ石 |
これらは、成分はほとんど一緒なのですが、組み合わされる成分の一部が違うので、このように区分けされます。また、これらの中間に位置するものもあります。すると色がさまざまになり、いわゆる手に入りやすい安価な宝石のイメージからは、程遠いものになりますね。1月の宝石としてのガーネットは、価格もさまざまで奥深く、多彩な表情がある「難しい宝石」の代表です。
ちなみに、店頭で人気の高い「美しい赤紫色・ロードライトガーネット」は、アルマンダイトとパイロープの中間形です。正式名ではありませんが認められており、価格もほどほどで、宝石として個性的な色合いが特徴的です。同様に太陽光で青緑色、白熱灯下で紫赤色になる「アレキサンドライトタイプ」のガーネットもあります。
筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ)
第5回 アメシストは紫だから価値があった
第4回 アメシストについて
第3回 ロードライトガーネット
第2回 ガーネットについて
第1回 誕生石について