前回、ガーネット族には、代表的な5種類の宝石があることをお伝えしました。そのうちのアルマンダイトとパイロープの種類が、古代(数千年)のエジプトから、人間との深いかかわりを持ってきました。これらは、鉄とマグネシウムの成分を含むため、代表的な色としては、深赤色、暗褐色から、より明るく薄い血赤、ピンク赤色となります。産出量が多いために稀少的な価値は望めませんが、個別に持つ色の美しさと透明感が、ガーネットの価値を決める大きな要素になります。それゆえ、ガーネットだから高い安いという価値判断は正しくありません。
たとえば、ビンテージワインの様な深い赤褐色で、透明感のあるものは、重厚で存在感があり、美しいガーネットといえます。
また、
「パイロープ」…その名前は「火」からきているは、燃えるような赤が良いものとなります。1900年代のボヘミア(チェコ)産のものが有名です。ところが、産出する多くが低級品だったので、ヨーロッパ中に広まりました。現在でもこの暗褐色のガーネットのイメージが強いために、一般にガーネットはあまり良い印象がありませんね。
赤い色は「情熱、愛情、力」の象徴的な色です。くすんだ赤ではその魅力も感じられません。美しい赤で、大きなものが手に入りやすいガーネットは、存在感がある代表的な宝石です。
さて、幸いなことに近年、赤紫色のガーネットが産出されています。30年ほど前から日本でも一般的になってきましたが、名前は「ロードライトガーネット」。性質はアルマンダイトとパイロープの中間形です。色みは、この2つのガーネットとは明らかに違い、紫が入った赤、シャクナゲの赤を示しているものになります。紫が入るからロードライトという拡大解釈をする人もいますが、正確には、密度3.84、屈折率1.76のものをいいます。
美しいロードライトガーネットは気品があり、高貴なイメージで赤い宝石の代表格になっています。 1月が誕生石である人には、美しいガーネットとしてもお勧めですが、誕生石に関係なく、「友情、信頼」などの象徴として、一つは欲しい宝石の一つです。
筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ)
第5回 アメシストは紫だから価値があった
第4回 アメシストについて
第3回 ロードライトガーネット
第2回 ガーネットについて
第1回 誕生石について