2月の誕生石であるアメシストは「紫水晶」。淡い紫から、赤紫、青紫など、世界各地に産出する歴史の古い宝石の一つです。稀少性と硬度を備えた、宝石の価値のある石を貴石といいますが、アメシストは、貴石ではなく、半貴石の代表になります。産出量は多く稀少性があるとは言えず、そして、硬度が水晶の7くらいだからです。
水晶であるアメシストが、紫の色を持つのは、鉄の成分が、自然の熱や人工的な加熱などの作用によって変色するためだと言われています。水晶を様々な方法で加熱すると、アメシストの紫、または茶色、黄色、緑色、そしてそれらの色とその中間色として登場します。どれもが、もともと変化する成分を含んでいて、その色になる「素質」を持ち合わせているので、熱の作用によって、色が変わるのです。
アメシストは、アメシストであるというだけで価値があるものではありません。お土産物として売っているような安価なアメシストは、それなりの品質のものです。
良いアメシストで高価なものになると、必ず他のどれよりも抜きんでた美しさとクリア感があるものです。色むらや内包物が見えない、正確なカットを施されて輝く、鮮やかな赤紫、気品の漂う青紫は稀少性も高く、他のどんな宝石にも見られない「宝石 アメシスト」と称するのにふさわしい物です。
原石が大きめにとれるので、ボリューム感と、カットのバリエーションで、ご自分が美しさと気品が感じられるものが最もあなたにふさわしいアメシストだと言えるでしょう。
さて、近年お勧めのアメシストですが、淡いピンク色が混じったような紫色のアメシストが美しいカットとともに登場しています。名前を、「ローズ・ド・フランス」と付けて販売しているところもあります。その名の通りにフランスに咲く可愛く高貴なバラのイメージ、女性らしい清新さと若々しさが魅力です。水晶であっても、色の魅力が十分に納得いくものの一つです。
参考までに、水晶はあまり高価な宝石ではありませんでしたが、このような魅力ある色のバリエーションで、近年注目されているのが「グリーン・クオーツ」、「レモン・クオーツ」、「オレンジ・シトリン」などで、カットが優秀で輝きの美しい物。どれも個性的で、良いデザインを施されたジュエリーに仕立てられていれば、逸品のジュエリーの仲間入りです。
筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ)
第5回 アメシストは紫だから価値があった
第4回 アメシストについて
第3回 ロードライトガーネット
第2回 ガーネットについて
第1回 誕生石について