宝石アクアマリンは、ベリル[beryl]という鉱物の中のひとつの宝石名です。 同じ鉱物の宝石の中に、最も有名な宝石、「緑色のエメラルド[emerald]」、アメリカを代表する宝石、「淡い紫色(ローズピンク)のモルガナイト[morganite]」、特殊な宝石、「濃黄色のヘリオドール[heliodor]」などがあり、様々な顔を持つ宝石として、ベリルは重要な鉱物ということになります。
アクアマリンと名前が付いていても、極端に薄い水色は無色のベリル(ゴッシェナイト[goshenite]に近く、緑がかった水色は「緑色ベリル」ともいうべきものでアクアマリンとして表現するのには微妙な範囲のものです。
なぜこのように宝石の名前が複雑かというと、まだ、科学が発達していなかった古代から、希少な価値や美しさを持つ宝石の文化は存在していたわけで、「宝石名」が先についていたからです。その後、成分や、色などの区分けが体系的に区分けされたことから、同一成分のものは「鉱物名」として表記されるようになりました。
以前お話ししたガーネットと、今回のベリル以外に代表的なものを上げると、次のようなものがあります。
鉱物名 | 宝石名 |
---|---|
クリソベリル | アレキサンドライト、キャッツアイ、他 |
コランダム | ルビー、サファイヤ、各色 |
オパール | ブラックオパール、ボルダーオパール、他 |
クオーツ | アメシスト、シトリン、ローズクオーツ、他 |
フェルスパー | ムーンストーン、各色、アマゾナイト、サンストーン、他 |
鉱物名は約40種類以上、宝石名は約130種類以上というように、 大変複雑に分類されます。 また、成分的にまじりあい、はっきり区分けできないもの、地域や歴史による名前の違いもあり、それらはバラエティーネームと呼ばれて認知されています。
筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ)
第5回 アメシストは紫だから価値があった
第4回 アメシストについて
第3回 ロードライトガーネット
第2回 ガーネットについて
第1回 誕生石について